一本のネクタイができるまで

Making a Tie 「織る」 Vol.3

2018年7月9日

Making a Tie

一本へのこだわり
染める

TEXT & EDIT Tetsu Takasuka PHOTO Seiichi Niitsuma

歴史の裏付けがあるネクタイ生地

 希少な伝統技術を継承する「タイヨウネクタイ株式会社」。その代表取締役である松田太藏さんに、ネクタイ作りへのこだわりを聞いてみました。

−なぜ旧い機械を使い続けているのでしょうか?

「弊社は京都でネクタイを製造する一番古い機屋です。西陣の中で言えば、旧式のシャトル織機を使っているネクタイ生地メーカーはもう他にありません。生産スピードでいえば新型の織機よりもずいぶん劣りますが、旧式の織機でなければ織れない生地がありますので、それが弊社の強みになっています。同時に、フレスコのような今となっては希少になってしまった昔ながらの技術を守っていきたいという思いもあります」

−機械を維持していくのは大変では?

「メンテナンス自体はそれほど難しくないのですが、機械のパーツが枯渇しつつあるのが悩みです。パーツが手に入る限りは修理しながら使い続けていきたいですね」

−フレスコだけでなく、ジャカード織りもすばらしい技術です。

「ジャカード織りの技術は、約550年前に西陣に伝わり独自に発展してきました。昔は主に帯の製造などに使われていましたが、弊社では明治時代からネクタイ生地にそれを応用しています。ネクタイ生地では帯に比べて倍近い密度でタテ糸を織り込みます。そのため、とても繊細な柄を表現することができます。西陣が長い歴史の中で培ってきたジャカード織りの技術をぜひネクタイで堪能していただければと思います」

 旧式織機が生み出す表情豊かなフレスコ、伝統技術で生み出す緻密なジャカード織り。どちらの生地もネクタイに仕上げた時に特別な輝きを放ちます。クリケットのタイを締めて、その歴史を感じてみてください。


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