一本のネクタイができるまで

Making a Tie 「染める」 Vol.4

2018年7月2日

Making a Tie

一本へのこだわり
染める

TEXT & EDIT Tetsu Takasuka PHOTO Seiichi Niitsuma

ネクタイ用の絹糸作りの難しさ

さまざまなシルク織物の原料となる絹糸を手がけている「にしき染色株式会社」。その代表取締役を務める日置顕三さんに、ネクタイに使われる糸は他とどのように違うのかたずねてみました。

−ネクタイ用の糸の特徴とはどのようなものなのでしょうか?

「ネクタイに使う糸は、他よりも繊細です。普通は、細くて弱い糸でも、何本も束ねて撚りをかけることで強度を高めますが、ネクタイ用の糸は細いままの状態です。そのため、繊細な柄を織ったり、豊かな光沢を生み出すことができます。ただ、細ければいいというわけではなく、必要最低限の細さを目指しながらも、最高水準の堅牢度を確保しなければならないのがネクタイ用の糸を作るうえで難しい点ですね」

−糸が細くなると染色も難しいのでしょうか?

「糸が太い方が強度が高くキズにも強いのですが、太くするほど光沢が失われます。どちらが難しいというのではなく、糸の特性に応じて適切に染め方を調節する技術が我々には求められています。太さは同じでも、原料となる生糸の産地によっても染め方が変わります。そうしたノウハウの蓄積と職人さんの経験と勘が我々の一番の強みなんです」

一見するとシンプルなネクタイも、糸1本作るだけで、これほどの手間がかかっているのです。お持ちのネクタイをじっくり見てみれば、気づかなかった魅力を発見できるかも知れません。


Making a Tie「染める」


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